資源エネルギー庁によると、太陽光発電の2020年の電源別発電コスト試算結果は、
事業用が12.9円/kWh。設備利用率17.2%、稼働年数25年。
住宅用が17.7円/kWh。設備利用率13.8%、稼働年数25年。
資源エネルギー庁「電気をつくるには、どんなコストがかかる?」で参照できます。
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/denki_cost.html
一方、再生可能エネルギーを進めるための制度である「固定価格買取制度」の買取価格は、表の通りです。
250kW以上 (入札制度適用区分) |
50kW以上 250kW未満 |
10kW以上 50kW未満 |
10kW未満 | |
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2021年度 | 入札制度により決定 第8回11円 第9回10.75円 第10回10.5円 第11回10.25円 |
11円 | 12円 | 19円 |
2022年度 | 入札制度により決定 第12回10円 第13回9.88円 第14回9.75円 第15回9.63円 |
10円 | 11円 | 17円 |
2023年度 | 入札制度により決定 | 9.5円 | 10円 | 16円 |
調達期間/交付期間 | 20年間 (事業用) |
20年間 (事業用) |
10年間 (住宅用) |
参照:資源エネルギー庁「固定価格買取制度」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html
菅直人元総理のおかげでスタートでした制度ですが、資源エネルギー庁によってどんどん価格が下げられ、推進するどころか、今では赤字に追い込んでいるようにさえ思えます。
毎年50件以上、太陽光関連企業は倒産しています。
試算ですから、実際のコストとは違うのはしかたがないと思いますが、政策は、試算をもとに決めるのが当然だと思います。
市場に変動する新制度・FIPも始まりしたが、基準価格が10円と低過ぎる設定になっています。
そこから市場価格などを考慮して、引いた上で、プレミアム(補助額)を得るのですが、プレミアムがでるのかでないのか疑わしい状態です。
仮に、逆に太陽光発電が10円/kWh程度でも採算が取れるのだとしたら、原発コストより、太陽光発電の方がすでに安いという話になります。
原子力発電の試算は、11.5~円/kWh。設備利用率70%、稼働年数40年。
設備利用率70%も、おかしいです。実際は次の通り。

出典:令和3年度版 原子力白書「我が国の原子力発電設備容量及び設備利用率の推移(電気事業用)」
グラフの表を全部足して30年で割っても54%。残りの10年を100%で動かしたとしても70%には届きません。65%程度。利用率80%だと、60%くらいです。それもまずないでしょう。
設備利用率は、高めに設定した方が、コストはより安く見えます。
個人的には、資源エネルギー庁は、太陽光発電の稼働年数を25年と短くしてコストを高く見せ、一方で原子力発電の設備利用率を高してコストを安く見せていると考えています。
2009年に公取を提訴したときも、コストを出す際の設定を疑問視しましたが、最近は、より悪質になってしまったと思います。
計算すればすぐ察せられるのに、堂々と国民をだましています。
熱中症で大勢が倒れている時代です。
2022年7月の1カ月だけで、3万に近くが救急搬送されています。
気候変動に真摯に向き合って欲しいです。それが願いです。
